2014年 22回リサイタル
2014年4月29日 津田ホール
終演後、ICU高校コーラス部OB・OGと久しぶりの再会でした。
皆さんありがとう!
他の卒業生とも写真撮ったのですが・・・送って下さい。
演奏会批評 音楽の友
例年コンサタントにリサイタルを続けている前中榮子の第22回に当たる。
これまでリートなども歌っているが、早くから日本歌曲に積極的に取り組み、回を重ねるにつれ、歌唱は奥行も滋味も増してきている。この日の曲目構成や歌の佇まいも大変充実したものだった。季節を呼び込むように、團伊玖磨「はる」を第1曲におき、別宮貞雄「さくら横ちょう」三善晃「五月」と歌い継げば、周囲に薫風がそよぐよう。歌が確かに春を運んできていた。声に不安なく、隣人に語りかけるような自然体の歌唱である。これら春の歌は、長く歌いこんで、前中の歌そのものになっているのだろう。
石桁真礼生の歌曲集「秋の瞳」全6曲もよかったが、際立ったのは星野富弘詩、なかにしあかねの歌曲集「二番目に言いたいこと」全7曲だった。星野の平明な、でも意味深い詩に、なかにしの繊細でインスピレーションの満ちた)付曲。それに前中は暖かな感触で聴かせた。いいナと思った。そして武満徹「死んだ男の残したものは」中田喜直「歌をください」に説得力。ピアノ花岡千春も秀逸。 (小山晃)
演奏会批評 音楽現代
日本歌曲を歌い続けるソプラノ・前中榮子のリサイタルは今回で22回を迎えた。自らの音楽的姿勢を貫き、演奏のレヴェルを維持できるのは日頃の精進の賜物であろう。
今日歌われたのは、季節に相応しい「はる」(谷川俊太郎詩・團伊玖磨曲)「さくら横ちょう」加藤周一詩・別宮貞雄曲)など5曲、歌曲集「二番目に言いたいこと」(星野富弘詩・なかにしあかね曲)、同「秋の瞳」(八木重吉詩・石桁真礼生曲9のあと、平和への祈り」として「死んだ男の残したものは」(谷川俊太郎詩・武満徹曲)ほか4曲。
まず前中の歌唱が詩が発するイメージを大きく羽ばたかせていくのを聴くのが楽しい。中でも、平易に見える旋律と和声から驚くほど心理の深淵を覗くことができる、なかにし作品で聴けた気品と陶酔は素晴らしかった。
日本語の濃やかな陰影を表出し、かつ感動をもたらす前中の歌唱を支え、優しい眼差しでそっと背を押す花岡千春のピアノに脱帽。 (保延裕史)